2013年8月8日

 熱風を放つ詩的幻想の内部は赤く破滅している。その代償として年増女が押し付けてきた一枚の紙切れには、もうこれ以上増えることは不可能と思料される欲望がぎっしりと詰め込まれている。一人うなだれると、隣室から部屋の照明を消す音が聞こえる。途端に夜がこの部屋を運び出す。かつて何よりも切実であった妄想が、具象性を帯び始める。そして聖母の微笑みをこちらに擦り付けてくる。「よき死」というのは生前の幸福や愛に比例せず、たんに無痛であることを言う。何故ならあらゆる事物は連綿たる持続性を保ちながら、疑いようもなく群島の姿をしているため。それをすべての人間が了解いているという証明は、疾うの昔に、白昼に浮かぶ月が成し遂げている。
 白い火傷が堕落を模造する。境界の長期的接触は、美の芸術的聴取として夢の中に記録される。夜盗の吹く口笛に起源は無い。